親善大使

小林聡美

1 top photo Satomi Kobayashi

プロフィール

フィンランドを舞台とした2006年の映画『かもめ食堂』(荻上直子監督)に主演。単館公開として始まったものの全国拡大上映のヒットとなり、小林演じる主人公サチエのような「暮らし」を体験してみたい日本人女性がこぞってヘルシンキへ。今でも渡航理由に挙げる観光客がたくさんいるほど根強い人気の作品となっている。

 

「遊ぶときは思いっきり遊ぶみたいな、
そういうフィンランド人たちの
はじけっぷりはすごく好きです」

  • 小林が主演した『かもめ食堂』は異例の大ヒットに。
    ©かもめ商会 写真: 高橋ヨーコ
  • フィンランド南部のタンミサーリでくつろぐ小林。
    Photo: chat chat corporation

インタビュー

小林さんが『かもめ食堂』撮影のためにフィンランドを訪れたのが2005年。それ以前にフィンランドへ行かれたことはありますか?

15年ほど前、フィンランドの森をトレッキングするというテレビ番組の企画で、初めて訪れました。主に湖水地方をまわって、最終的にはロヴァニエミまで足を伸ばしました。その数年後に、映画の撮影で1カ月ほどヘルシンキに滞在しました。

それから何度もフィンランドを訪問していると聞きました。

1カ月もいると、そこで生活している感じになるんですけど、すごく居心地がよかったんです。ヘルシンキは都会でありながらのんびりしていて、ちょっと足を伸ばせば自然があって。フィンランド人は図々しくもなく冷たくもなく、人との距離の取り方も心地よかった。仕事とプライベート合わせて、もう5~6回は行っているのではないでしょうか。

街中でフィンランド人に声を掛けられることはありますか?

それは滅多にないですね。でも逆に、最近は日本人観光客がすごく多くなって、もちろん映画を見て旅行されている方も多いので、日本にいるときよりも声を掛けられたりしてびっくりします(笑)。

そうですね。映画が公開されて10年以上経った今も、フィンランドへの渡航理由に『かもめ食堂』を挙げる日本人観光客がたくさんいます。映画の影響力について、小林さんご自身はどのように感じていますか?

驚きましたね。映画の影響力は想像を超えていたというか、たまたま北欧デザインブームと重なったというのもあるかもしれません。(映画公開間もない頃のように)誰にも気づかれず旅することはできなくなってしまいましたが、多くの日本の方がフィンランドの魅力を感じるきっかけになったのは嬉しいことだし、ヘルシンキから一歩奥に入って、さまざまなフィンランドを体験してほしいと思います。

撮影中の思い出で、とくに印象に残った出来事はありますか?

ある日、フィンランド人のアシスタントディレクターが「明日は母親の誕生日だから休みます」って言ったんです。日本人の感覚では「え、お母さんの誕生日で休むの?」でしたが、フィンランド人スタッフは皆「ああ、誕生日だからね」と普通の反応で。そういう仕事のやり方ができるフィンランドって何かいいなあ、と思いましたね。「何が何でも仕事が一番」とは違う価値観があるのが素敵だなって。

フィンランド人には、私生活と仕事の上手な分け方、気持ちの整理の仕方があるんだと思います。フィンランド人は良い意味でマイペースで、自分のスタイルを持っていますよね。「皆がこうだから私も」という感じがなくて共感します。子供まで、みんな堂々としてるんですよ。男女平等で、たとえば私が乗った船は毎回、女性が操縦していてかっこよかったですね。

フィンランド流のゆったりとしたスタイルに変えようと思いましたか?

私はもともと、結構のんびりしてるので(笑)。でも遊ぶときは思いっきり遊ぶみたいな、そういうフィンランド人たちのはじけっぷりはすごく好きです。

フィンランド在住の友人が連れて行ってくれた地方のファームステイ先で、外にお風呂を用意してくれたんです。私の友人は裸で湖に飛び込むタイプなんですが、フィンランドにいると裸に抵抗がなくなるっていうか。それでお風呂に入った後、(木と木をつないだ)遊具のロープに裸のままつかまって、スライドして遊んだりしました(笑)。

『かもめ食堂』では食べ物が大きな役割を占めていますが、フィンランドでお気に入りの食べ物はありますか?

シナモンロールの大ファンになりました。カルダモンの香りが好きで、フィンランドのお土産に買ってきてもらって、家でクッキーを焼いたりしています。でもシナモンロールは作りませんね。シナモンロールはやっぱりフィンランドで食べたいですから。

2019年は外交関係樹立100周年。フィンランドと日本の関係は今後、どのように展開すればよいと思われますか?

私は俳優なので、映画や舞台を通して二国間交流に関わり、理解を深め合えたらいいなと思います。
『かもめ食堂』は主な出演者が日本人でしたので、今度は主要登場人物にフィンランド人俳優も出てくるようなお話を作ることができたら面白いですね。フィンランド人が楽しんでいるライフスタイルに焦点を当てるとか。たき火でソーセージを焼いたり、コーヒーをいれたり。サウナに入ったり、裸で湖に飛び込んだりね(笑)。話では聞いていても、実際の映像で見ることはあまりないような気がします。

素晴らしいアイデアですね!日本の映画にも日常生活を描いた優れた作品がありますし、そのような二国間交流の映像を一緒に作ることができれば楽しそうです。

フィンランド人と日本人が一緒に暮らして、お互いのカルチャーにびっくりするような話とか面白そうですね。

一方で、フィンランド人と日本人は似ているとも言われます。どんなところに類似点を感じますか?

性分が似ているといいますか。押しが強くなく、相手を尊重し、謙虚で思慮深いところ。ファームステイ先の家族も、あからさまなサービスはしないけれど、気にかけてくれているのがわかります。お店でも、フィンランドのどこにいてもそう。日本にいるときとあまり変わらずに人と接することができ、居心地がいいんですよね。

小林さんのご著書に、将来は海外に住んでみたいようなことが書かれていました。フィンランドに移り住むことを考えたことはありますか?

もちろん考えたこともありますよ。でも、冬はどうなんですか?

フィンランドの「まっとうな」冬は素晴らしいんですよ。ぜひ冬にラップランドに行って、真っ白な雪と清々しい空気を楽しんでください。零度30度といっても、風も湿気もなくて意外と大丈夫なんです。

そうですね。本当にフィンランドが好きだったら、冬も体験しなくちゃ駄目ですね!

インタビュー

小林さんが『かもめ食堂』撮影のためにフィンランドを訪れたのが2005年。それ以前にフィンランドへ行かれたことはありますか?

15年ほど前、フィンランドの森をトレッキングするというテレビ番組の企画で、初めて訪れました。主に湖水地方をまわって、最終的にはロヴァニエミまで足を伸ばしました。その数年後に、映画の撮影で1カ月ほどヘルシンキに滞在しました。

それから何度もフィンランドを訪問していると聞きました。

1カ月もいると、そこで生活している感じになるんですけど、すごく居心地がよかったんです。ヘルシンキは都会でありながらのんびりしていて、ちょっと足を伸ばせば自然があって。フィンランド人は図々しくもなく冷たくもなく、人との距離の取り方も心地よかった。仕事とプライベート合わせて、もう5~6回は行っているのではないでしょうか。

街中でフィンランド人に声を掛けられることはありますか?

それは滅多にないですね。でも逆に、最近は日本人観光客がすごく多くなって、もちろん映画を見て旅行されている方も多いので、日本にいるときよりも声を掛けられたりしてびっくりします(笑)。

そうですね。映画が公開されて10年以上経った今も、フィンランドへの渡航理由に『かもめ食堂』を挙げる日本人観光客がたくさんいます。映画の影響力について、小林さんご自身はどのように感じていますか?

驚きましたね。映画の影響力は想像を超えていたというか、たまたま北欧デザインブームと重なったというのもあるかもしれません。(映画公開間もない頃のように)誰にも気づかれず旅することはできなくなってしまいましたが、多くの日本の方がフィンランドの魅力を感じるきっかけになったのは嬉しいことだし、ヘルシンキから一歩奥に入って、さまざまなフィンランドを体験してほしいと思います。

撮影中の思い出で、とくに印象に残った出来事はありますか?

ある日、フィンランド人のアシスタントディレクターが「明日は母親の誕生日だから休みます」って言ったんです。日本人の感覚では「え、お母さんの誕生日で休むの?」でしたが、フィンランド人スタッフは皆「ああ、誕生日だからね」と普通の反応で。そういう仕事のやり方ができるフィンランドって何かいいなあ、と思いましたね。「何が何でも仕事が一番」とは違う価値観があるのが素敵だなって。

フィンランド人には、私生活と仕事の上手な分け方、気持ちの整理の仕方があるんだと思います。フィンランド人は良い意味でマイペースで、自分のスタイルを持っていますよね。「皆がこうだから私も」という感じがなくて共感します。子供まで、みんな堂々としてるんですよ。男女平等で、たとえば私が乗った船は毎回、女性が操縦していてかっこよかったですね。

フィンランド流のゆったりとしたスタイルに変えようと思いましたか?

私はもともと、結構のんびりしてるので(笑)。でも遊ぶときは思いっきり遊ぶみたいな、そういうフィンランド人たちのはじけっぷりはすごく好きです。

フィンランド在住の友人が連れて行ってくれた地方のファームステイ先で、外にお風呂を用意してくれたんです。私の友人は裸で湖に飛び込むタイプなんですが、フィンランドにいると裸に抵抗がなくなるっていうか。それでお風呂に入った後、(木と木をつないだ)遊具のロープに裸のままつかまって、スライドして遊んだりしました(笑)。

『かもめ食堂』では食べ物が大きな役割を占めていますが、フィンランドでお気に入りの食べ物はありますか?

シナモンロールの大ファンになりました。カルダモンの香りが好きで、フィンランドのお土産に買ってきてもらって、家でクッキーを焼いたりしています。でもシナモンロールは作りませんね。シナモンロールはやっぱりフィンランドで食べたいですから。

2019年は外交関係樹立100周年。フィンランドと日本の関係は今後、どのように展開すればよいと思われますか?

私は俳優なので、映画や舞台を通して二国間交流に関わり、理解を深め合えたらいいなと思います。
『かもめ食堂』は主な出演者が日本人でしたので、今度は主要登場人物にフィンランド人俳優も出てくるようなお話を作ることができたら面白いですね。フィンランド人が楽しんでいるライフスタイルに焦点を当てるとか。たき火でソーセージを焼いたり、コーヒーをいれたり。サウナに入ったり、裸で湖に飛び込んだりね(笑)。話では聞いていても、実際の映像で見ることはあまりないような気がします。

素晴らしいアイデアですね!日本の映画にも日常生活を描いた優れた作品がありますし、そのような二国間交流の映像を一緒に作ることができれば楽しそうです。

フィンランド人と日本人が一緒に暮らして、お互いのカルチャーにびっくりするような話とか面白そうですね。

一方で、フィンランド人と日本人は似ているとも言われます。どんなところに類似点を感じますか?

性分が似ているといいますか。押しが強くなく、相手を尊重し、謙虚で思慮深いところ。ファームステイ先の家族も、あからさまなサービスはしないけれど、気にかけてくれているのがわかります。お店でも、フィンランドのどこにいてもそう。日本にいるときとあまり変わらずに人と接することができ、居心地がいいんですよね。

小林さんのご著書に、将来は海外に住んでみたいようなことが書かれていました。フィンランドに移り住むことを考えたことはありますか?

もちろん考えたこともありますよ。でも、冬はどうなんですか?

フィンランドの「まっとうな」冬は素晴らしいんですよ。ぜひ冬にラップランドに行って、真っ白な雪と清々しい空気を楽しんでください。零度30度といっても、風も湿気もなくて意外と大丈夫なんです。

そうですね。本当にフィンランドが好きだったら、冬も体験しなくちゃ駄目ですね!